放射線Q&A

放射線技術科

放射線Q&A

放射線と聞くと、白血病などのがんを連想し不安になる人がいらっしゃると思います。しかし、医療現場における放射線の利用に関しての不安の多くは放射線の影響に対する誤解から生じていると思われるものです。そこで、ここでは患者さんから多く寄せられる質問にお答えしたいと思います。

Q1.エックス線検査をうけて大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。

確かに、急激に多量の放射線をあびたり、慢性的に被曝を続ければ人体に悪影響が現れることがあります。しかし、医療で使用される放射線は一部の特殊な例を除いて問題になるほどの被曝をうけることはありません。

また、考えていただきたいのはなぜエックス線検査を行うかということです。医療現場では、不必要なエックス線検査を行うことはありません。すべて、病気の診断や治療を行うためのものです。つまり、エックス線検査を受けることにより受けるメリットが、被曝のリスクよりおおきいということです。

Q2.エックス線って何ですか?

A. 光と同じ電磁波の一種です。

私達が見ることができる可視光線より波長が短いものに紫外線があります。エックス線は紫外線よりはるかに波長の短い光です。波長が大変短いため物質を通り抜けることができます。この性質を利用してエックス線写真を撮ることができます。

Q3.どうしてからだの中のものが写るの?

A. それは、エックス線には、物質を透過する力があります。しかし透過する間に物質に吸収されだんだん減少していきます。このとき物質の種類や量により吸収のされ方が違います。このため、からだを透過してきたエックス線は強い部分と弱い部分ができます。これを濃淡としてあらわしたものがエックス線写真です。

Q4.普通に生活していても被曝しているってほんとうですか?

A. 本当です。

私達が普通に生活していても自然界から被曝しています。
たとえば、宇宙からやってくる宇宙線によって年間約0.3mSv,その他地中や建物の壁などさまざまのものから年間約1.6mSvの被曝を受けています。

(放射線防護Q&A 草間朋子 医療科学社より)

Q5.入院中同じ病室の人が隣のベッドで写真を撮られました。大丈夫でしょうか?

A. 大丈夫です。

通常エックス線の撮影は定められた撮影室内で行うことが原則です。しかし、移動困難な患者さんなど一部病室内での撮影が認められています。

この場合、患者さんから2メートル離れたところで胸部撮影1回の線量は0.1μSv、腹部撮影の場合で0.5μSv程度だといわれています。宇宙線による被曝が1日約1μSvであることを考えると、この程度の線量は問題にはなりません。

Q6.エックス線検査でどのくらいの被曝をするのですか?

A. 検査により違います。

一概にどのくらいと言うのは難しいのですが、医療放射線による日本の一人あたりの年間被曝線量は約1.6mSvといわれています。これは、自然放射線による年間の被曝とほぼ同じくらいです。

Q7.たくさんの検査を受けました。白血病にならないでしょうか?

A. 大丈夫です。

ドラマなどの影響か放射線と聞いただけで白血病を心配する方がいらっしゃいます。 白血病は、骨髄の造血細胞の異常増殖であると考えられています。したがって、造血臓器である赤色骨髄の被曝線量がゼロに近いエックス線検査の場合は白血病の心配は、まったく問題になりません。

(放射線防護Q&A 草間朋子 医療科学社より)

Q8.放射線から身を守るにはどうすればいいのですか?

A. 防護の3原則を覚えましょう。

放射線の被曝は次の3つによって減らすことができます。

  1. 時間
  2. 遮蔽
  3. 距離

「時間」とは文字通り被曝する時間を減らすということです。

「遮蔽」とは、線源と人体との間に遮蔽物を置くことです。放射線は物質を透過する性質がありますが、その透過率は物質や放射線の種類によって違います医療で用いるエックス線の多くは鉛数ミリで遮蔽することができます。

「距離」とは、線源と人体との間の距離のことです。放射線は距離の逆二乗で減衰するので50センチの距離から2メートルまで距離を取ると16分の1の量になります。