麻酔科・手術科

麻酔科・手術科

更新日 令和7年2月3日

診療科概要

麻酔科・手術科は救命救急部門の一部である手術部門の運営を引き受けます。進化し続ける高度医療を遂行するため、外科系各科から様々な手術依頼があります。限られた、機材、人材、時間を効率よく仕分けし、安全確実に患者さんのニーズに応じるよう努力しています。手術の成功には術者、麻酔科医、看護師、臨床工学技師、放射線技師など多くの専門家からなるチーム医療で臨みますが、麻酔科はそのリーダーシップをとる立場と自覚し精進しています。

屋上ヘリポートを備えた高度救命救急センター、および地域周産期母子医療センターを併設する島根県立中央病院として、2020年度 3684(2914)例、2021年度 3904(2961)例、2022年度 4124(2981)例(カッコ内は麻酔科関与)手術がありました。手術件数は年々増加傾向です。年間約4000例の手術となりますが、その中で緊急手術は約600例で、ドクターヘリ搬送後速やかに手術となる症例もありました。救急医療は医の原点といいますが、多くの予定手術を計画する中で、救急搬送された重症患者の救命を最優先し、時間外に予定手術が開始となることもありました。関係各位には更なるご理解とご協力をお願いする次第です。

ところで、救急救命士をご存知ですか?心肺機能停止状態の傷病者の救命率を上げるために、1991年に導入された資格です。ある種の医療行為を行う事を許可されましたが、厚生労働省と総務省消防庁が検討を重ねた結果、このうち、気管挿管に関しては、規定の講習と共に、病院での気管挿管実習が義務付けられています。当院ではこの挿管実習に対して、麻酔科を中心に病院全体で取り組んでいます。全身麻酔を受けられる皆様にも、救える可能性がある命を、ひとつでも多く救えるよう、実習へのご協力をお願いしています。



椎間板ヘルニア治療器の導入について

神経を圧迫し、首や足腰などにつらい痛みを引き起こす椎間板ヘルニア。
2024(令和6)年4月から当院に導入した新しい治療法をご紹介します。

 ご注意ください!

 この治療は、特殊外来「ペインクリニック(月曜日午前中)」にて、麻酔科 奈良井 康宏医長が行います。椎間板ヘルニアが対象ですので、事前に整形外科病院・医院・クリニックでの診察・診断を受けた後に、「ペインクリニック(月曜日午前中)」への受診並びにご紹介をお願いいたします。
 なお、病状によっては、この治療の対象外の場合もあることをご承知おきください。また、本術式は圧迫を受けている神経の間接的な除圧(神経の圧迫を取り去るものではなく、軽減するのみの手技)であって、手術で行う神経の直接的な除圧(神経を圧迫するものを取り去る手技)ではありません。


椎間板ヘルニアとは?

私たちの脊椎(背骨)は、椎骨と呼ばれる骨がいくつもつながって連結しています。
この椎骨同士をつなぎ、クッションの役割をしているのが「椎間板」です。
椎間板は例えて言うなら袋に入ったゼリーのようなもので、衝撃を和らげたり背骨を動きやすくさせたりするための大切なものですが、そのゼリーが何かの拍子に飛び出してしまい、神経に触れて痛みを引き起こしてしまうのが「椎間板ヘルニア」です。

施術方法について

椎間板ヘルニアは自然と改善する場合もありますが、一般的な治療としてはまずは投薬で様子を見て、改善されなければ手術によって痛みの原因となっている部分を直接切除するという方法が取られていました。

当院では2024(令和6)年4月より、椎間板ヘルニアの新しい治療法である「経皮的髄核摘出術」を導入しています。
これは椎間板の中に約2ミリの針を刺して、針の内部から専用の電極を挿入し 電気を流して飛び出している椎間板の内部を蒸発、摘出させます。
これにより椎間板内圧を下げて神経圧迫を軽減し、痛みを和らげます。
脊椎の腰や首部分のヘルニアに対し有効性の高い治療法で、従来の外科手術に比べると体への負担が少ない低侵襲治療です。

この手技の特徴としては、
 ▽約2ミリの針を使用するため、傷口がほとんど残らない
 ▽身体への負担が少なく、年齢や体力に左右されることなく治療ができる
 ▽術後の痛みが少ない
 ▽入院の必要もなく、局部麻酔での手術が可
 ▽日常生活への復帰も早い
 ▽疾患部位の確認が可能なため、安全性が高い
など、多くのメリットが期待できる治療です。

症状の改善には個人差があり、比較的すぐ良くなる方もいらっしゃれば1~2か月かかる方もいらっしゃいます。
自宅でリハビリをしていただきながら、まず1か月は様子を見る必要があります。
これは、椎間板内の圧力が徐々に減っていくためです。
1か月後の外来で経過を確認し、残った症状があれば神経ブロック治療などの追加治療を行います。また、場合によっては、整形外科と連携し、手術療法も視野に入れていきます。
なお、ヘルニア以外の痛みを起こす原因がある場合は、予想した効果が得られない場合もあります。

治療にあたっての注意点などは?

治療後1か月ほどは、激しい動きなどは控える必要があります。
特に治療後1~2週間は、負担のかかる動作は控えてください。
ただし、入院の必要がないので、治療後3日間は自宅で安静が必要ですが、その後は仕事を休むことなく(重い物を持つなど、仕事内容によっては休んでいただく必要があります)日常生活を行うことが可能です。
リハビリは、自宅で自分で行うので、1か月後の診察まで原則、通院は不要です。
保険適用の治療で、自己負担は3割です。

この治療が適さないケースは?
  • ヘルニアが原因で手足の麻痺、運動障害が生じている方
  • 妊娠中の方(レントゲンを撮りながら施術をするため)
  • 極端に腰が変形している場合(針がうまく刺さらない場合があるため)

※以下、参考動画「特集:切らずに治す 椎間板ヘルニア治療」も是非ご覧ください。

広報番組の紹介

当院では、医療に関する情報や病院の取組などを紹介する広報番組を制作し、県内ケーブルテレビおよびYouTubeチャンネルでご紹介しています。
当科に関連する内容を取り上げた動画を下記からご視聴いただけます。


特集:切らずに治す
椎間板ヘルニア治療
(2024年9月放送)

スタッフ紹介

役職 氏名 資格・その他
医療局次長
(麻酔科部長)
(手術科部長)
越﨑 雅行
(こしざき まさゆき)
注1
平成4年卒
日本麻酔科学会 麻酔科認定指導医
日本専門医機構認定 麻酔科専門医
日本救急医学会 救急科専門医
厚生労働省麻酔科標榜許可
ICD 制度協議会 インフェクションコントロールドクター
日本医学シミュレーション学会DAMインストラクター
              CVCインストラクター
日本医師会認定産業医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医
麻酔科医長 佐々木 敦子
(ささき あつこ)
平成3年卒
日本麻酔科学会 麻酔科認定医
厚生労働省麻酔科標榜許可
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医
奈良井 康宏
(ならい やすひろ)
平成14年卒
日本麻酔科学会 麻酔科専門医・指導医
日本ペインクリニック学会専門医
厚生労働省麻酔科標榜許可
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医
岩田 雅人
(いわた まさと)
平成31年卒
厚生労働省麻酔科標榜許可
JB-POT認定医
緩和ケア研修会修了
和田 穰
(わだ みのり)
平成19年卒
日本麻酔科学会 認定指導医
日本専門医機構認定 麻酔科専門医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医
麻酔科医員 大谷 一志
(おおたに かずし)
令和3年卒
緩和ケア研修会修了
非常勤医師 横井 いさな
(よこい いさな)
平成15年卒
日本麻酔科学会 麻酔科認定指導医
日本専門医機構認定麻酔科専門医
厚生労働省麻酔科標榜許可
緩和ケア研修会修了

注1:一部の日本語環境で表示できない文字があります。正しい表記は「越さき」です。

診療科について
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一般外来診療時間

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