検査技術科

検査技術科概要

患者さんの体から直接情報を記録したりして(生理機能検査)、体の状態を調べることにより、病気の診断・治療・予防に役立てるのが私達の仕事です。

国家資格を取得した臨床検査技師、視能訓練士、看護師が担当しています。それぞれの専門分野の認定資格を取得し、専門的な技術と知識を兼ね備えた担当者が、迅速で正確な検査結果を提供しています。

また、臨床検査室の国際規格である「ISO15189認定」や、日本臨床衛生検査技師会の「品質保証施設認証」の認定を受け、医療の質の向上に貢献しています。

専門分野ごとに各部門において業務を担当しており、その概略を紹介します。

業務紹介

検体検査

体内から採取された血液や尿などの科学的成分の分析や細胞形態の観察、細菌の有無や種類の特定を行います。医師は、患者さんの病態、疾患名、治療方針などを決定する判断材料としてこれらの検査結果を参照します。

検体検査の中にも以下のように様々な分野があり、24時間体制で緊急の検査にも対応しています。

一般検査

一般検査は、尿や便、脳脊髄液などを検査します。尿では蛋白や糖などが出ていないか調べたり、顕微鏡で細胞や結晶などの成分を調べたりすることで、様々なことが分かります。便の検査は主に血液が混じっていないかを調べます。大腸がんの早期発見につながることもあるとても重要な検査です。そのほか脳脊髄液で髄膜炎の状態を調べる検査などを行っています。

生化学検査

血液中の赤血球や白血球などを除いた血清または血しょう中には、蛋白、糖、脂質をはじめ、酵素、電解質など多くの成分が含まれています。これらの成分を化学的に分析するのが生化学検査です。検体検査の中でも項目が最も多く、あらゆる疾患、体の状態に関連する大変重要な検査です。

免疫血清検査

血清中の抗原(病原体など)や抗体(病原体などを除去するための物質)を調べて、肝炎ウイルスや梅毒などに感染していないか検査を行っています。また腫瘍マーカーの検査なども行っています。

血液検査

赤血球や白血球、血小板の数を調べる検査や、白血球の種類を分類する検査などを行っています。それぞれの血球の数の多い、少ない、大きさ、割合などを調べることによって様々な体の状態を知ることができます。また、血液を固まらせる成分などを調べる凝固検査も行っています。

細菌検査

肺炎や膀胱炎など感染症にかかったとき、その原因となる微生物(主に細菌)を見つけるための検査です。その結果から最も効果的な抗菌薬を選ぶなど、治療方針が決められます。検査には血液だけでなく、喀痰や尿、便など感染している場所から採取したものを用います。細菌は培養する必要があり、数時間で結果がわかる血液検査などと違い数日かかります。

輸血検査・輸血血液管理

輸血をする前に患者さんの血液型を調べ、輸血用の血液製剤が患者さんに合うのかを検査しています。また、血液製剤の保管中の適切な温度管理や在庫調整などもこちらで行っており、患者さんの元に血液製剤が届くまでの多くの業務を担っています。

生理検査

血液や尿などを検査する検体検査と異なり、検査担当者が患者さんに直接接して行う検査です。

心臓機能検査

心臓の機能の検査だけでなく、全身の循環器系の働きを客観的に診断するために下記の検査を中心に行っています。

  1. 安静心電図検査
    心臓から出る弱い電気的変化を波形として記録する検査です。
  2. ホルター心電図検査
    小型の心電図記録機器を装着し、24時間の心電図を連続記録する検査です。安静心電図検査だけでは捉えることができない異常の発見ができます。小型の機器を胸に装着したまま帰宅し、翌日機器を外しに来院していただきます。機器を装着している間は普段通りに過ごすことができ、防水タイプの機器であれば入浴も可能です。
  3. 心臓超音波検査
    心臓を超音波でみて詳しく調べる検査です。心臓の大きさや動き、弁の形態をリアルタイムに観察することができます。被ばくの心配はなく、子どもや妊婦の方まで安心して検査を受けていただくことができます。
  4. 血圧脈波検査
    両手両足の血圧を同時に測定し、足の血管の硬さの程度や詰まり具合をみる検査です。

超音波検査

超音波(人の耳には聞こえない高い音)を使って体の中の臓器やできものをみる検査です。痛みや放射線による被ばくの心配がなく、生まれたての赤ちゃんにも安全に行えます。

頸動脈超音波検査の様子

<主な検査項目と内容>

  • 腹部超音波検査:肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓など
  • 甲状腺超音波検査:甲状腺
  • 乳腺超音波検査:乳房
  • 頸動脈超音波検査:頸動脈
  • その他の超音波検査:足や手、腹部の血管、リンパ節、皮下の腫瘤(できもの・はれもの)など

医師と一緒に、超音波を使って肝臓や臓器に針を刺して行う治療や、組織や細胞を採って調べる検査も行っています。

脳波・筋電図検査

脳波・筋電図検査室では、脳波検査や神経・筋に関する検査を行っています。
脳波検査は、頭皮に小さな電極をつけて脳から発生する微弱な電気信号を記録する検査です。CTやMRI等の画像検査ではとらえられない、神経細胞の過剰な活動(興奮しすぎていないか)などもわかります。
誘発電位検査は、電気、音、光など様々な刺激を与えて神経や筋肉を興奮させ、その伝わり方や反応の大きさを調べ、異常がないかをみます。
その他、睡眠時無呼吸症候群の検査や、手術室での術中神経モニタリングも行っています。

脳波検査

神経伝導検査

呼吸機能検査

肺活量・努力肺活量測定

呼吸機能検査室では、肺の容量、気道の異常、肺拡散能力(酸素を取り込む力)など、肺の機能を調べる検査を行います。
検査は息切れ、咳などの症状がある場合に検査を行います。また、全身麻酔による手術の前にも行います。
肺活量測定、努力肺活量測定のほか、検査用のガスを用いた精密検査も行っています。
普段の呼吸とは異なる息遣いが必要なため、他の生理検査に比べ患者さんの協力が不可欠な検査です。
臨床検査技師の掛け声に合わせ、最大の努力で検査を行っていただきます。

聴力検査・平衡機能検査

聴力検査では難聴の程度、性質及び障害部位とその原因について検査をしています。
「会話や電話の声が聞き取りにくい」「耳がつまったような感じがする」「耳鳴りがする」「突然聞こえが悪くなった」このような症状がある患者さんに聴力検査を行います。

音は聞こえるけれど何を喋っているのか理解できないなどの患者さんには、ことばの聞こえの検査を行います。

平衡機能検査は主にめまいを訴える患者さんに対して行っています。
眼の周りに電極をつけて眼球の動きを見たり、身体のバランスをみたりして検査を行います。
これは耳から生じるめまいか、脳疾患から生じるめまいかなどを区別するための検査のひとつです。

眼科系検査

当院では、眼科専門の国家資格を持つ「視能訓練士」が検査を担当しています。赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年代の方に精度の高い検査を行っています。

  1. 眼科一般検査
    視力、眼圧、視野、画像検査等、検査項目は約50項目に及び、患者さんの様々な訴えから見え方を数値化して医師に伝えます。
  2. 視能訓練
    視力の発達が遅れているお子さんの弱視訓練や、間欠性外斜視や物がだぶって見える状態(複視)の方を対象とした斜視訓練に取り組んでいます。
  3. ロービジョンケア
    日常生活で見え方に不自由を感じておられる方に対して、視覚リハビリテーションを行っています。
  4. 健診(検診)
    人間ドック、航空身体検査等の健診業務にも携わっています。

眼底三次元画像解析
光干渉断層血管撮影

弱視訓練
 

斜視訓練
 

ロービジョンケアグッズ
(ルーペ、遮光眼鏡 等)

病理検査

病理検査とは組織や細胞の形態を観察し、診断の確定、病期・予後の推定、治療効果の判定を行う検査です。病理検査の種類は「病理組織検査」「細胞診検査」「病理解剖」に大別されます。

  1. 病理組織検査
    患者さんから採取された組織を薄く切り、スライドガラスに貼り染色して、プレパラートを作製します。病理医がプレパラートを顕微鏡で観察し病変を診断します。
  2. 細胞診検査

    尿、たんなどの中に含まれている細胞を集めたり、病変をブラシで擦る、または針で吸ったりして採取した細胞からプレパラートを作製し、顕微鏡でがん細胞や感染がないかを探します。

  3. 病理解剖
    病死された患者さんの遺体について、ご遺族の承諾を得て、死因の特定、病態の解明や治療効果の判定をするために行います。そして、今後における病気の予防や診断・治療に役立てていきます。

採血

外来採血室では、臨床検査技師と看護師が血液検査のための採血を行っています。
採血以外にも、尿検査、便検査、たんの検査などがあり、正確な検査結果につながるよう、最適な採取方法の説明を行っています。
日々、安心して採血を受けていただけるように努めています。

内視鏡

当院の内視鏡診療部門においては、医師・看護師・臨床検査技師が協力して「内視鏡を用いた検査および治療」を行っています。ここでいう内視鏡とは消化器内視鏡と気管支内視鏡です。
臨床検査技師の具体的な業務は、大きく分けて次の6つになります。

  1. 診断のための内視鏡検査の直接介助
  2. 内視鏡治療の直接介助
  3. 内視鏡及び内視鏡処置具の洗浄・保守・管理
  4. 内視鏡に関わる機器の保守・管理
  5. 内視鏡室の運用管理
  6. データ整理・管理

取得資格

  • 日本臨床衛生検査技師会 認定心電検査技師
  • 日本臨床衛生検査技師会 認定病理検査技師
  • 日本臨床衛生検査技師会 認定認知症領域検査技師
  • 日本臨床衛生検査技師会 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師
  • 日本輸血細胞治療学会 認定輸血検査技師
  • 日本臨床細胞学会・日本臨床病理学会認定 細胞検査士
  • 国際細胞学会認定 国際細胞検査士
  • 日本臨床検査医学会認定 緊急臨床検査士
  • 日本臨床検査医学会認定 二級臨床検査士(循環生理)
  • 日本臨床検査医学会認定 二級臨床検査士(神経生理)
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡技師
  • 血管診療技師認定機構 血管診療技師(CVT)
  • 日本臨床神経生理学会 術中脳脊髄モニタリング認定技術師
  • 日本顕微鏡学会 電子顕微鏡技術二級技士
  • 毒物劇物取扱責任者
  • 有機溶剤作業主任者
  • 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
  • 乙種第4類危険物取扱者
  • 島根県糖尿病療養指導士
  • 実務教育研究所 統計士
  • 日本視能訓練士協会 認定視能訓練士
  • 視能訓練士実習施設指導者等養成講習会 修了
  • 視能訓練士ロービジョンケア研修会 修了
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