消化器科・内視鏡科・肝臓内科
消化器科・内視鏡科・肝臓内科
更新日 令和5年6月1日
診療科概要
消化器科・内視鏡科は、主におなかの病気(食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの病気)を診療します。
1.診断・治療機器・技術はトップクラスを目指します。
内視鏡診療機器は操作性に優れ高画質なハイビジョン、拡大観察、NBI観察可能な内視鏡スコープを導入しています。特に下部消化管内視鏡はルーチンで拡大観察機能を有した内視鏡を使用しており、適切な診断のもとで外来ポリープ切除術も行っており、また、希望に応じて鎮痛剤も使用して検査・治療を行っております。上部消化管内視鏡では内視鏡治療前の拡大・NBI観察は必須で施行し、正確な術前診断を目指しております。さらに上部消化管内視鏡検査につきましては、疾患や用途に応じてになりますが、最新機種での経鼻内視鏡も選択できます。さらに粘膜下腫瘍や胆膵疾患とくに膵癌の診断・治療を向上すべく、超音波内視鏡下に膵生検が可能な超音波内視鏡も導入しております。また、新型コロナウイルス感染症対策もしっかり行っており、上部消化管内視鏡検査においては被検者マスク着用下での検査を行っております。
2.一歩進んだ消化器診療を展開します。
早期胃癌、早期食道癌、早期大腸癌の内視鏡的治療に対してはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を積極的に施行いたします(2022年12月末現在、胃ESD1282例、食道ESD284例、大腸ESD 232例)。また、耳鼻咽喉科との共同で咽頭癌の内視鏡治療も施行(2022年12月末現在27例)しております。
小腸についてはカプセル内視鏡、シングルバルーン内視鏡を導入し、診断へのステップとしております(ただし、再建腸管へのERCPは当院では行っておりません)。
膵癌の診断においては、先進のCT、MRIと組み合わせ、超音波内視鏡下穿刺による細胞診・生検を行ない膵癌の確定診断と治療成績の向上を目指します。また、2018年にはCアーム機能を有したデジタルX線透視撮影システムを導入し、胆膵系の内視鏡検査・治療のさらなる向上を目指しております。
近年増加傾向の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)に対しても、従来治療に加え、適応を見極めながら免疫調整薬や生物学的製剤の導入も積極的に行っております。また、各種消化器系癌に対する化学療法や放射線療法も、臨床腫瘍科や緩和ケアチームなどと連携しながらワンチームでの治療提供に心がけております。もちろん適応によってはゲノム診断も可能です。
3.肝臓診療のさらなる発展を目指します。
当院では2017年に肝疾患診療を充実させるため、肝臓内科が新設されました。
- 肝癌の診療においては、先進の造影CT, 造影MRIに造影超音波検査や超音波ナビゲーションシステムを組み合わせて肝癌の確定診断と治療成績の向上をはかるシステムを構築しています。早期の肝癌症例には経皮的ラジオ波焼灼療法など確実で負担の少ない経皮的局所治療を積極的に行っており、良好な治療成績を維持しています。多発症例には血管造影での治療を当院放射線科と連携して行っています。免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を用いた化学療法にも積極的に取り組んでいます。肝癌において、先端治療を提供できる体制です。
- ウイルス肝炎にも積極的に治療を行っています。C型肝炎治療については、インターフェロンを使わない内服薬のみの治療が主流となっており、副作用がほとんどなく2~6か月間の短期治療で95%以上のウイルス駆除率が得られます。高額な薬剤ですが、治療費の助成制度を利用して安価に治療が受けられます。当院では200例を超える患者さんが内服薬のみの治療でC型肝炎ウイルス駆除に成功しています。B型肝炎に対しては内服薬で安定させる治療を継続することで、肝硬変への進展阻止、発癌予防をはかっています。今やウイルス肝炎は制御できる時代です。
- 近年肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病に伴う脂肪肝の患者さんが増加しており、約1割の患者さんが脂肪性肝炎という肝硬変、肝癌へ進行する状態になります。このような患者さんを早期に発見し、生活習慣の改善と適切な治療により肝障害の進行を抑えることが重要で、当院では他の診療科や栄養士などのスタッフと連携して積極的に診療を行っています。また、当院には肝臓の硬さや脂肪の付き具合を侵襲なく測定できる超音波装置が5台備わっており、脂肪性肝炎の確定診断に必要な肝生検も積極的に行っています。
4.従来の消化器診療をさらに深めます。
通常の内視鏡検査はもちろん、早期食道癌・胃癌・大腸癌の治療内視鏡、吐血・下血などの緊急治療内視鏡に積極的に取り組みます。早期膵癌診断目的で積極的に超音波内視鏡検査も施行しております。
総胆管結石の内視鏡的排石治療、また悪性疾患の減黄治療やステント治療の実績をさらに向上します。
5.カンファレンス、研修、学会活動に積極的に関わります。後期研修医も募集しています。
入院患者さん、手術を受けられる患者さん、手術の終了した患者さんのカンファレンスを行っています。また、毎日、内視鏡カンファレンスを行い、診断学、治療成績の向上に努めています。
最新の知識を習得すべく学会・研究会・ライブに積極的に関わり、発表しています。
さらに全国レベルの治験、臨床研究にも参加しております。
当科は島根大学医学部第2内科の関連病院になっておりますが、出身大学にかかわらず、同様の消化器研修を受けることが出来ます。症例は多彩で、科内の雰囲気も良いため、楽しく経験数がつめると思います。研究希望の方に関しましては島根大学をはじめ、各種施設と連携しておりますので対応します。各種専門医取得(内科学会、消化器病学会、消化器内視鏡学会、肝臓学会、消化管学会など)も可能です。なお、時間外や週末は待機制をとっているため、自分の時間も作ることもできます。多くの方が研修に来ていただけることを心待ちにしています。
皆様のご期待にたがわず邁進しますので、ご指導宜しくお願い致します。
主な消化器検査・治療業績
検査・治療 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|
上部消化管内視鏡 | 3406 | 2987 | 3037 | 3125 |
下部消化管内視鏡 | 2098 | 2195 | 2130 | 1948 |
ERCP | 252 | 205 | 193 | 204 |
咽頭・食道ESD・EMR | 44 | 50 | 48 | 51 |
胃ESD・EMR | 73 | 64 | 79 | 102 |
十二指腸ESD・EMR | 3 | 4 | 2 | 5 |
大腸ESD | 27 | 37 | 30 | 22 |
超音波内視鏡検査(上部消化管、胆膵系) | 196 | 218 | 198 | 200 |
出血性病変に対する緊急上部消化管内視鏡 | 138 | 116 | 91 | 107 |
消化管ステント留置術 | 30 | 28 | 26 | 22 |
腹部超音波検査 | 5206 | 4676 | 4859 | 4859 |
肝癌経皮的局所治療 | 52 | 43 | 42 | 41 |
肝生検 | 69 | 57 | 60 | 43 |
PTCD・PTGBD、膿瘍ドレナージ等 | 81 | 66 | 74 | 74 |
スタッフ紹介
役職 | 氏名 | 資格・所属学会・その他 |
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医療技術局長 | 高下 成明 (こうげ なるあき) |
昭和63年卒 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医 日本肝臓学会 肝臓専門医・指導医 日本内科学会 認定内科医 日本超音波医学会 緩和ケア研修会修了 臨床研究指導医 |
肝臓病を専門に最先端の診療をしています。慢性肝炎から肝硬変、肝癌にわたる、あらゆる治療に対応しています。肝臓の診療はお任せ下さい。 | ||
消化器科部長 | 藤代 浩史 (ふじしろ ひろふみ) |
平成2年卒 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医 日本内科学会 認定内科医・総合内科指導医 消化器がん検診学会 日本食道学会 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
消化器内視鏡を中心に消化器診療を行っています。よろしくお願いします。 | ||
肝臓内科部長 | 三宅 達也 (みやけ たつや) |
平成7年卒 日本肝臓学会 肝臓専門医・指導医 日本超音波医学会 超音波専門医・指導医 日本消化器病学会 消化器専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 日本内科学会 認定内科医 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
ウイルス肝炎や生活習慣に伴う肝障害、肝硬変、肝癌など肝疾患全般にわたり診療を行っています。患者さんと信頼関係を築けるような診療を心がけています。 | ||
内視鏡科部長 | 宮岡 洋一 (みやおか よういち) |
平成9年卒 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医 日本肝臓学会 肝臓専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本超音波医学会 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
消化器・肝胆膵疾患全般を診療しますが、特に内視鏡的治療や消化管疾患(食道・胃・大腸)を専門としています。安全、確実な内視鏡治療を常時提供できるように頑張ってまいります。 | ||
内視鏡科医長 | 田中 雅樹 (たなか まさき) |
平成14年卒 日本食道学会 食道科認定医 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本胃癌学会 日本頭頸部癌学会 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
消化管がんに対する内視鏡治療を専門としています。 地域の皆さまに貢献できるよう精進いたします。 | ||
消化器科医長 | 山之内 智志 (やまのうち さとし) |
平成17年卒 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター 日本医師会認定産業医 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
島根県内の地域の病院で内科全般を診療してきた経験を生かし、消化器全般を診療させて頂きます。正確な診断と、納得できる治療が受けられるように心がけていきます。 | ||
小川 さや香 (おがわ さやか) |
平成21年卒 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医 日本消化器病学会 消化器病専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 日本消化管学会 胃腸科専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
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消化器疾患全般を診療しておりますが、中でも内視鏡治療を専門にしています。患者さんに対する丁寧な説明、診療を心がけています。よろしくお願いします。 | ||
塚野 航介 (つかの こうすけ) |
平成23年卒 日本内科学会 認定内科医 日本消化器内視鏡学会 専門医 日本医師会認定産業医 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
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消化器の知識、内視鏡技術の習得に向け、精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。 | ||
藤原 文 (ふじわら あや) |
平成24年卒 日本内科学会 認定医 日本消化器病学会 消化器専門医 日本消化器内視鏡学会 緩和ケア研修会修了 臨床研修指導医 |
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消化器科医員 | 日野 孝信 (ひの たかのぶ) |
平成31年卒 緩和ケア研修会修了 日本内科学会 日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会 |
患者さんとご家族のお話によく耳を傾け、ともに歩んで行ける医療を目指しています。 | ||
大町 泰介 (おおまち たいすけ) |
平成31年卒 緩和ケア研修会修了 日本内科学会 日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会 |
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地域の皆樣のお役に立てるよう精一杯頑張ります。 | ||
特別非常勤医師 | 今岡 友紀 (いまおか とものり) |
昭和48年卒 (元)日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医 (元)日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 (元)日本内科学会 認定内科医・指導医 緩和ケア研修会修了 |
消化器疾患全般を診療しています。約30余年の臨床経験を生かし、皆様に貢献できるものと思っています。消化器科・内視鏡科はもとより病院全体の円滑な診療への配慮も怠りなく努力いたします。 |