高度救命救急センターについて

基本理念

県立中央病院の使命を基本に
県民に高度で安全な救急医療を提供し
地域医療の向上に貢献します

基本方針

  • 患者さんの意思を尊重し安心して受けられる救急医療を提供します。
  • 多職種が連携し専門性の高いチーム医療を行います。
  • 他の医療機関、救急隊との連携を密にし、継続性のある医療に努めます。
  • 病院をあげて人間性豊かな質の高い医療従事者を育成します。
  • 災害時には、災害拠点病院としての責務を果たします。

当院は1980年より救命救急センターとして島根県の救急医療を担ってきましたが、2017年8月31日付で山陰初、中国地方で5か所目の高度救命救急センターとして指定を受けました。
救命救急センターは、心筋梗塞、脳卒中、心肺停止、多発外傷など重篤で複数診療科にまたがるような状態の患者さんに集中治療を含めた高度な医療を提供する目的で指定された医療機関です。その中でも、「広範囲熱傷」「指肢切断」「急性薬物中毒」といった特殊疾患に対する救命医療を行うために必要な、きわめて高度な診療機能を有するものが高度救命救急センターとして指定されます。

当院の高度救命救急センターは大きな三つの役割があります。
「救急外来診療」
「集中治療」
「病院前救急医療」

これらの役割を果たすために、高度救命救急センター外来、病棟、ICU、HCU病棟、ドクターヘリ、ドクターカー、DMATなどを擁し、24時間体制で業務にあたっています。

高度救命救急センター外来(ER)

当院の高度救命救急センター外来には年齢、重症度を問わず年間約22,000名前後の患者さんが来院されます。最近は多少軽症患者が減少し、重症患者(約3%前後)が増加する傾向にありますが、依然として受診患者のほとんどが軽症患者(70~80%前後)になっています。救急車による搬送は年間約3,300件程度であり、ここ数年は横ばいとなっていますが、出雲地区以外からの搬送が増加しています。

救命センター外来を受診された患者さんは、まずトリアージと呼ばれる重症度評価を行い、優先度を決定します。その後救命救急科医が診察しその結果緊急に専門医の診察が必要であると判断される場合は、24時間体制で待機している各科専門医と協力して対応します。

当院では全診療科が病院全体として救急医療に取り組むという姿勢で救命救急センターを運用しています。

院内トリアージについて

高度救命救急センターでは、24時間体制で医師、看護師が常駐しており、傷病の程度に関わらず、あらゆる年齢、あらゆる診療科の患者さんの救急受診に対応しています。
当院は山陰両県で唯一の高度救命救急センターであり、生命に危険をおよぼすような状態、高度な治療・検査が必要な患者さんの診療を担っています。受診に際し、以下のことにご理解ください。

  1. 高度救命救急センター外来では診療予約は受けておりません。受付後に看護師による院内トリアージを行い、診療順を調整させていただきます。
    迅速な対応の必要な患者さんへの診療を優先させていただくため、お待ちいただく場合があります。
  2. 急性期の症状への対応が主となりますので、投薬は必要最小限の日数に制限されます。
  3. 診断書などの公的な書類は、原則として次回一般外来受診時に発行いたします。

<院内トリアージとは>

患者さんの血圧や脈拍、呼吸などのバイタルサインの測定・観察と、症状や経過についての簡単な問診から、病状の緊急度と重症度を推測し、診療の優先度を判断することです。

トリアージの目的は患者さんの安全と安心を守ることです。

トリアージナースは緊急度の判断だけでなく、安心してお待ちいただくための簡単な応急手当や説明も行います。

<トリアージ分類>

緊急
  • 意識が悪い、血圧が極めて低い、うまく呼吸ができないなど、生命の危険が差し迫った状態
  • 直ちに診療を開始します。
準緊急
  • 血圧や呼吸は安定しているが、何らかの処置や詳しい検査が必要と思われる状態
  • おおむね、30分以内に診療するか、再度トリアージします。
低緊急
  • 血圧や呼吸が安定していることに加えて、短時間での病状悪化の危険が低いと思われる状態
  • 優先度の高い患者さんがいらっしゃれば、診察を待っていただきます。1時間以内に再度トリアージします。

ハイケアユニット(HCU)

大手術後、心不全、呼吸不全、意識障害などの、集中治療を要するほどではないものの重篤な患者さんに対して重点的なケアを行う病棟です。一般病棟と集中治療室の中間にあたり、ベッド4床あたり看護師1人が常時配置されています。当院には6床のHCUがあります。

集中治療室(ICU)

集中治療室(ICU)は生命にかかわる重篤な患者さんに対して人工呼吸、ECMO、血液透析をはじめ高度な治療を集中的に行う病棟です。毎年各診療科から約1,000例程度の入室があります。ベッド2床あたり看護師1人が常時配置されています。当院には12床のICUがあります。

ECMO

人工呼吸器
血液透析装置

超音波診断装置

3階東(高度救命救急センター)病棟

3階東病棟は高度救命救急センターの病床として、夜間の緊急入院や、救命救急科の患者さんが入院される病棟です。25床の病床があります。